ベトナム勢力じわじわ 東口MÃ LONG QUÁN
近年は周囲でベトナム語を耳にすることが増えている。今は外国人技能実習生が中心なので、起業して店を構える人はまだまだ少数なのだが、これから定着する人が増えるにつれて、爆発的に増えるのではなかろうか。
西川口駅東口の線路沿いを蕨方向に向かうと飲食店多数が入居する「The Terrace」がある。駅前に出て左手には一等地でありながら、権利問題で再開発から取り残されたバラック同然の店が立ち並ぶ一角があるが、ちょうどその裏手に回ると見えてくる。
1階に中華料理店の「金海湾」があり、2階にベトナム料理店が2軒入居している。うち1軒が今回取り上げる「MÃ LONG QUÁN」だ。
階段を2階に上がり、右側の扉を開けると真正面に見える。当地にはこれまでも少数のベトナム店ができては消えていったが、ここは賑わっているようだ。ちょうどこの日もベトナム人が鍋を囲んで大宴会中。狭い店内で無理やり席をつくってもらい着席。
メニューはそれほど多くないが、日本人が知っている代表的なものは一通りそろえてある。日本語訳がかなりヘンなのはご愛嬌。そして、ベトナム北部でよく食べられる犬肉は「犬蒸し」「犬あげ」「焼き犬」という三段活用と来たもんだ。愛犬家が見たら卒倒必至だが、現地の食文化なのだから尊重するしかあるまい。ちなみにベトナム産の犬肉を販売する卸業者が存在するそうだ。少なくとも日本産ではない点は加筆しておく。
そして、空芯菜と牛肉の炒めもの(にんにくマシマシ)は無難だった。しかも周囲の中国店とは味付けもやや異なる。
ドリンクメニューにはハイボールやホッピーがあるが、酒の卸業者の言うがままに置いただけらしく、店員は日本の酒文化を全く理解していない。ハイボールを注文したら、ウイスキーの水割りがジョッキで出てきたし、ホッピーセット2つと注文したら、中央にホッピーの瓶、そして氷が入ったジョッキを2つ出された。
「........」
ひとしきり沈黙が流れた後、「あのー、ナカ(焼酎)は?」と尋ねるもやはりコミュニケーションが成立しない。ベトナム人客のうち、日本語ができる人の助けを借り、なんとかナカの入手に成功するまで3分を要した。ホッピー1本を2人でシェアしたのもそういえば人生初かもしれない。
3階にカラオケルームを併設している。入り口まで潜入を試みたが、店内からは日頃の恨みつらみをぶちまけるようにエネルギッシュなベトナム人の歌声が漏れ聞こえた。ベトナム人と同伴なら面白いかもしれない。なお、店のバイトのハーちゃんは西口に新たなベトナム店を来年にも出店する野望を抱いており、行く末が楽しみだ。
星数多ある中国店の中で、インド/ネパール系の店は瞬く間に淘汰された。そんな当地で果たして中越紛争は起きるのか?商才に長けた人たちだから意外とうまくいくかもしれない。頑張れベトナム勢!